今回、EVO JAPAN 2019に1日目、2日目と参加した中で、さまざまな想いを持ったので、この気持ちが薄れる前に全て書き出そうと思いました。特に、プレイヤーが不戦敗になるケースは見ていて非常に心ぐるしいものだったので、なるべく詳細に、現地で何が起きていたのかを書いたつもりです。
開催前~開催後全般
情報の出が遅く、「参加者は具体的に何をすればいいか」という部分が、当日になってもわかりませんでした。この具体性のなさが、今回のイベント全般で混乱をもたらした原因ではないかな、と個人的には感じました。特に、下記に示す練習場所の提供に至っては当日の告知になっており、その最たる例ではないかなと思います。
【訂正】#EVOJapan2019 出場選手向けに、<明日2/14>の10〜18時に福岡市街地において練習場所を無料提供いたします(※公式サイトでは<13・14日>となっておりますが、提供は<14日のみ>となります。大変申し訳ございません)。直前の練習に是非ご活用ください!詳細はこちら→https://t.co/8dP0Bpb8Wv
— EVO Japan (@EVOJapanNews) 2019年2月13日
受付
EVO Japan 2019の公式サイト内の注意事項によると、下記の通り記載があります。
トーナメント当日は、参加の前に受付にて本人確認を行います。エントリー受付後、後日配信予定の登録完了メール(印刷したもの、もしくはスマートフォンの画面など)と身分証を持参してください。
ですが、実際は、下記の写真のように、「入口で受け取った用紙に自己申告で名前を記載する」のみであり、本人確認は行われず、登録完了メール内の情報は、少なくとも1日目、2日目には使用されることはありませんでした。
進行
2/14日のトーナメント表確定のツイートから嫌な予感はしていましたが、Winnersをいくつか進める→Losersをいくつか進めるという進行は、プレイヤーによっては数時間の待ち時間を発生させることになり、トラブルの元になりますし、実際にそうなってしまいました。
実例を挙げて見てみましょう。ストリートファイター5の下記の日程をご覧ください。
これだけではイメージが湧かないと思うので、実例を上げます。
- Wave1、かつ、全勝したプレイヤー
- 13:00開始~14:30終了
- 試合間の待ち時間ほぼ無し(同プール内の試合待ち程度)
- 1日目の試合数は3試合
プロプレイヤーのときどさんがこのケースにあたります。15:00頃には勝ち上がり報告が見られますね。
- Wave1で敗退、かつ、ルーザーズを全て勝ち上がったプレイヤー
- 13:00開始~20:00終了
- 試合間の待ち時間は最大3時間以上(初戦敗退13:00~16:30ルーザーズ開始)
- 1日目の試合数は6試合
正直なところ、このケースは私自身です・・・。結構つらかったです。
ダブル・エリミネーションという形式は特殊なため、慎重に進行を検討しないと、こういった不均衡が発生します。このことについては実況でも参加されているJames Chen氏も苦言を呈しており、W1→L1→L2→W2→L3→L4...という進行を推奨しています。
Bracket Running 101:
— James Chen (@jchensor) 2019年2月15日
No matter HOW MUCH you think it’s a good idea, never ever ever EVER run multiple rounds of winners side first and then shift to losers side. NEVER.
Run round one and then Winners -> Losers -> Losers, Winners -> Losers -> Losers, etc. always. ALWAYS.
プレイヤーの不戦敗
そでさんのつぶやきを筆頭に、Twitter上でも度々話題となっていましたが、不戦敗が発生していた状況の原因は複数あると感じたため、それぞれ記載いたします。
EvoJapanストV、不戦敗しました。
— そで (@ClsodeR_TH) 2019年2月16日
事前にスタッフに尋ねて「対戦テーブルを聞いてこのテーブルでやるので待機しておいてください」と言われて待っていたけど、いつまで経っても始まらないので、もう一回聞きに行ったら「違うテーブルで対戦でした、すみません」で不戦敗扱いになっていました。
集合場所
不戦敗を一番引き起こしたのは、「プール会場まで来たが、プレイする机が分からなかった」ことだと考えています。
「どうやったら不戦敗になるか」というのは、「集合時間になった後、運営スタッフが1回目の呼び出しから5分以内に居なければ不戦敗となる」です。
会場では、長机が4つ、上記のような配置と、各長机に番号が張られていました。また、各4つの長机の横には、各プールの番号を示す旗が置かれていました。そのため、「番号の旗の付近までは到着できたが、どの対戦台に参加するのかわからない」という様子のプレイヤーが多数みられました。
この長机に振られている1~4の番号は、それぞれプールのChallongeに記載されているA~Dに対応していることが、運営スタッフさんへの確認で分かりました。この対応付けは、私の知る限りは、事前、事後の告知は無く、運営スタッフさんに聞かないと入手できない情報でした。
そのため、上記の画像で黄色の位置にプレイヤーは待機しているのですが、青色の部分から呼び出しをした場合に声が届かない場合がありました(運営ボランティアさんと協力して呼びかけを行っていました)。また、後述しますが、海外プレイヤーは自身が呼び出されていることに気が付けませんでした。
これが、「プール会場に居たのに気が付いたら不戦勝となっていた」という人の現実かと思います。
Challonge
大多数のプレイヤー、及び運営者がChallongeのトーナメントを使用し、動いていました。しかし、これが非常に、非常に見づらかったです。というのも、smash.ggのようにある程度分けられたページではなく、スト5の場合であれば、1024人分のページを毎回参照しなければなりませんでした。
Challongeのトーナメントページから自身のユーザーネームを検索し、場所を確認するのはかなり大変でしたし、端末の負荷もかなり高い印象を受けました。携帯等を持っていなかったりする人向けに、会場には3台のノートパソコンでChallongeを確認できるスペースがありましたが、それでも四苦八苦していたプレイヤーが居た印象を持っています。そのため、自分のプール番号が確認できず、不戦敗になってしまった方もいるのではないかと推測します。
外国の方へのサポート
呼び出しの際、英語の読み上げ方を誤っている運営ボランティアの方が少なからず見られました。また、英語ができる人が居ないためにコミュニケーションができていないシーンも見られ、英語でなかなか過激な言葉を発してその場を後にするプレイヤーもごく少数ですがいらっしゃいました。
プロプレイヤーのKayane氏が指摘している他、ギルティギアプレイヤーのkoBa氏がその経験を語っています。今回のEVO JAPANについては、海外プレイヤーからはものすごく評判が悪いです。
プール開始時間の変更
会場では、一部の進行が遅れており、その場合は30分毎繰り下げを行っていたようで、その内容は運営ボランティアの皆さんに口頭で伝えられていました。例えば、「14:30集合の人には、進行が遅れているため、15:00に再集合してほしいことを伝えて」のような感じでした。
しかし、運営ボランティアさんは、見知らぬ参加者の顔を見て、誰がどの時間にスタートするというのを把握するすべを持ちません。名札についても、人混みの中では確認できるような状況にありませんでした。
同様に、参加者は伝え聞く以外に確認の方法がありません。現地に居た限りでは、伝言ゲームを聞けた人と聞けなかった人がかなり居た印象です。
この影響で、時間になっても呼び出されない、もしくは状況が分からず、気が付いたら不戦敗になっていた人もいたのではないかと推測します。
観戦者
人混みのあり様にも、不戦敗の原因の一旦があったと考えています。
特にプロプレイヤーを筆頭とした有名プレイヤーが居るプール会場では人が多く、参加すべきプレイヤーが集合しづらい状況となっていました。観戦については、大会規則にも記載が無く、現場での規制等もなく、報道各社の取材事情やプレイヤーを応援する人だかりができる気持ちもわかりますし、それを悪いという気はありませんが、もう少しどうにかした方がいいのではないかと感じました。
運営ボランティアの待遇
これは会場内で偶然聞こえてしまった話ですが、2日目、14:00~15:00過ぎ付近ですが、運営ボランティアさんが苦言を呈しているのをそこかしこで耳にしました。会場での試合開始10時~プール終了の15時過ぎの引継ぎ時間まで、予定されていた引継ぎもなかなか行えず、休憩無しでお昼も食べられない人が大多数だったようです。
個人的な感想になってしまいますが、この運営方法では、先が続かないどころか、eスポーツとしての印象も非常に悪いものになってしまうのではないかと感じます。また、今回は産学官連携を標榜し、福岡市までが関係しているため、このような労働状況では色々不味いのではないかと思いました。(各報道機関も来ているので・・・)
所感
ここからは、雑多な感想となります。ポエムです。
1日目の帰り際に、たまたま運営の方と少しだけ話す機会がありました。主にTwitterでの評判が悪いことをすごく気にされていたので、私個人としては、競技を非常に楽しめたことをお伝えいたしました。
今まで述べた点に目を伏せるならば、会場の熱量は非常に高く、EVO Japanというイベントは続けて欲しいと願うばかりです。しかしながら、プレイヤーとして参加した私は、どこか、プレイヤーは大事にされていない印象を強く受けました。
プレイヤーも、運営も、スポンサーも、その他イベントにかかわる全ての人があって、初めて成り立つイベントだとは思ってますし、「プレイヤーが居て初めて競技イベントは成り立つ」といった贔屓目はしたくありません。ですが、プレイヤー、特に海外の皆さんにとっては、一生に一度、あるかないかの貴重な体験になるかもしれません。前回開催の東京は、観光資源が豊富で、移動の便もよく、楽しむことができたかもしれません。ですが、福岡、とりわけ、福岡国際センターという場所は、そのように他に観光できるアテは少ない場所であると思っています。(正直、臨時バスぐらいは出るだろうと思ってました。)
様々な方面での利害関係は私の想像できるところではないですが、もう少し、もう少しだけ、プレイヤーを大事にしてくれると良いな、と思いました。
本日はEVO Japan 2019の最終日です。歴史あるEVOというイベントの最終日です。現地にはいかないですが、参加されるプレイヤーの皆さんの熱い試合を楽しみにしています。
追記
(2019/2/19 11:44追記) 個人的な良い体験を別の記事として書きました。EVO Japan 2019というイベントを判断するにあたって、上記の負の側面だけでは不平等なので、一プレイヤー視点としての良い側面も是非見ていただければと思います。